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2004.05.13

PBM者に読ませたい冒険小説(1)

第一回:ウィルバー・スミス

 アフリカのザンビア出身のイギリス人作家。
 日本ではいまいちな知名度だが、欧米では誰もが知っている有名冒険小説作家。
 ちょっと作品毎の質的ばらつきが大きいんだけど、スバラシイキャラクターと迫力のある描写で読ませる作家。
 訳者にもよるけどね。

 とりあえずお勧めするのは「熱砂の三人」(文春文庫)
 時代は1934年、舞台はエチオピア戦争。イタリアの独裁者ムッソリーニの野望が世界を虎視眈々と狙い始めた時期のお話だ。
 
 物語の幕開けは東アフリカのタンガニーカ。フィーヴァーコースト(熱病海岸)と呼ばれるこの世界の果てで、アメリカ人のエンジン技術者ジェイク・バートンは、イギリス植民地軍がスクラップとして放出した5台の装甲車からエンジンを外して売りさばこうと考え、競売に参加する。
 ところが、競売に強力な対抗者が現れた。イギリス人のギャレス・スウェールズというこの男は、元近衛連隊少佐。甘いマスクと巧みな話術で世を渡り歩くペテン師だ。
 彼は、このがらくた同然の旧式装甲車を、武器禁輸に苦しむエチオピア帝国に高値で売りつけようと画策していたのだ。
 競売はエスカレートし、互いに競り合う二人の男は値をつり上げ合い、ジェイクは競り勝つものの手持ちの資金をほとんど失ってしまう。
 ギャレスはジェイクに自分のプランを打ち明け、ジェイクが整備した装甲車をエチオピア帝国の代表団に売って利益を分かち合うことで二人は合意した。
 エチオピア代表団を迎える二人。何と、エチオピアの高官リジ・ミカエルはギャレスのイートン校時代の旧友であり、ギャレスのたくらみは完全に見抜かれていたのだ。
 ギャレスは装甲車を売ることには成功するが、その代わりその装甲車や武器弾薬といった軍需物資を、国際連盟により武器禁輸措置が執られた東アフリカ沿岸を突破してエチオピア国内に搬入するという条件を付けられてしまった。
 彼が金をもらえるのは装甲車をエチオピアに輸送した後。そしてエチオピア唯一の海港ジブチはイギリス軍によって封鎖されていた!
 かくして二人の男は、道案内役として若きエチオピア人族長の息子を加え、4台(1台は修復出来ず。そして4台を整備するための「ギャレスの」辛苦は必読)のポンコツ装甲車でエチオピアを目指すことになった。
 そして、4台目の装甲車を運転することになるのは、エチオピア情勢の真実を求めて現地に潜入を試みる、ヒロイン(つまり三人目)であるアメリカ人ジャーナリストのヴィッキー・カンバーウェル。
 彼女を巡っての二人の男の奮闘を織り交ぜつつ、幾多の危機を乗り越えながら友情を深めていくジェイクとギャレス。
 ついには、イタリア軍の侵攻が始まり…

 と言うようなストーリー。どうですか、燃えるでしょ?
 PBM的見地から見ると、主人公3人以外、いわばNPCに相当するキャラクターが秀逸。
 前述のリジ・ミカエルはいかにもご婦人に人気の出そうだし、イタリア軍を指揮するアルド・ベッリ伯爵は無能でええかっこしいの自己陶酔家。そしてそれを大苦心しながら補佐するカステラーニ少佐もイイ。
 エチオピアで彼らを迎える族長ラス・ゴラムはイギリスびいきの豪傑で、百戦錬磨のギャレスも舌を巻くほどのギャンブルの達人。
 暴虐な族長ラス・クッラーや明るく奔放な美少女サラなど、魅力的に造形されたキャラクターがてんこ盛り。
 キャラ作りという点で学ぶことも多いと思われる一作だ。

 残念ながら版元品切れらしいが、流通在庫も多く、結構売れたはずなのでブクオフとかに行けば簡単に入手可能のハズ。一読あれ。

 その他「飢えた海」「灼熱戦線」「虎の眼」もおすすめヨ

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