LIAR
前回に引続き、ドエマーについてである。この第2回では、ルーツとなったジッパという人物について解説する。
ジッパ
生没年不詳、16世紀ごろの人物。英国出身の軍人で、造船技師でもあった。なおジッパというのは通称で、本名はジッパ・ダンともジッパー・ダンドンとも言われているが、確かなことはわからない。
大航海時代に軍人としてのキャリアをスタートさせたが、間もなく造船の魅力に取り憑かれ、船大工としての修行を積む。やがて自国の技術だけでは飽き足らず、他国の造船技術の習得を真剣に考え始め、ついには当時の主要各国への亡命を繰り返すことになった。そのため、各国から賞金をかけられて追われたこともある(その後英国に復帰)。その甲斐あってか、造船家としての腕は「魔改造」または「M改造」の異名を取るほどに優秀であり、当時リスボンやロンドンの街では、彼への依頼を叫ぶ声が引きもきらなかったという。
さて、彼の生涯を語る際に避けて通れないのが、その華麗なる女性遍歴についてである。全ての港に妻がいるとか、愛人が100人だとか噂されたほどで、亡命前から傾向としてはあったらしいが、本格化したのは亡命生活中である。お尋ね者としての他国での生活は、人一倍寂しがりやの彼にとって暴走の理由となったとしても不思議ではない。この「事績」は決して褒められたことではないが、同情すべき点が無いわけでもなかったのである。
ここに興味深いエピソードがある。賞金首時代の彼は何度か討伐されたのだが、討伐したのは何と彼の妻であった女性だというのだ。確かな史料も無く、話としてはややでき過ぎているため、後世の創作だとする研究者もいる。しかし、彼のドエマー性向を考慮し、私は事実だったのではないかと推測している。
この稿は今回で終了する。次回は未定である。
written by Kenneth Keptor (2011.11.30)
BGM : Pour Some Sugar On Me / DEF LEPPARD
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